来週末に妻が、長女の住む東京に行きます。
今日は気象警報が発令されたため仕事が休みになりました。
そのため、京都市街地の金券ショップへ新幹線の回数券を買いに行きました。
今日のウォークは、「京都の怪異・不思議・遺構」を追うウォークの第1回目にもなりました。
本日のウオーキング歩数、約25,000歩。(万歩計を持参せず)
2011年9月21日(水)
この写真だけ「番外」。
数日前の朝の仕事の前に写しました。
城陽市の「あらすイモ」畑です。
収穫されておられましたので、農家の方に声をかけて分けていただきました。
1株200円で、1株あたり大きなサツマイモが4〜5個もついていました。
伏見稲荷を起点に歩き始めます。
北上して東福寺に到着。
カエデの緑が少しだけ色づいていました。
紅葉の名所「通天橋」。
今は閑散としていますが、紅葉シーズンになるとわんさと人が押し寄せ大混雑します。
本格的な紅葉は、まだ先になりそうです。
七条大橋に到着。
台風15号が各地に大きな爪痕を残しました。
鴨川もかなり増水しています。
水が濁っているのは上流の山が荒れているから。
植林された杉林が放置されていれば枝が茂り過ぎ地表に日光が差さず、草などが生えない「死んだ土地」になってしまいます。
そうなると大雨が降れば表土が流されてしまい、下流の川はこうして濁るのです。
この川の濁りは、戦後の日本の農林政策の不毛さを象徴しているとも言えます。
烏丸通を北上。
京都市電が保存されているビルがありました。
この市電は、おそらく500型。
高辻通り新町の金券ショップで新幹線の回数券を購入。
そして班女塚へ。
繁盛神社の由来。
班女石。
少し前まで石の前面にあった祠は、もうなくなっていました。
塚に関しては「宇治拾遺物語」の「長門前司の娘、葬送のとき本の処に帰る事」と題した話に詳しく書かれています。
「今は昔 長門前司といふける人の 女二人ありけるが 妹は人の妻にてありける。妹はいとわかくて 宮仕へぞしけるが 後は家に居たりけり。 わざとありつきたる男もなくて・・・・」という文で続きます。
要約すると。
ここに住んでいた長門前司の二人の娘のうち、下の娘が未婚のまま病死しました。
妹の遺体を墓地に運ぶと、なぜか墓地に着いてみると棺の中は空っぽ。
家人は「不思議なことがあるものだ。」と首をかしげながら帰宅すると遺体は家の戸口に戻っていました。
何度も何度も葬送するのですが、その都度家に遺体が戻ってしまいます。
人々は、「娘は死んでもここにいたいのだろう。」と考え、家の側に塚と祠をつくって祀ったということですが、それがこの塚なのです。
この班女塚に未婚の女性が近づく、ましてやこの石に触るなんてのは絶対にタブー、そんな雰囲気が今でも残っています。
白く新しく塗られたコンクリートの部分に祠がありましたが、もう撤去されてしまっています。
なお班女塚の「塚」はいうのは長門前司の家の戸口一間の板敷など取り壊しそこに遺体を埋めて築いた塚のことで、撤去された祠のことではありません。
写真右側の、煉瓦色の石の上に四角い石が乗っているものはどうやら織部灯篭(キリシタン灯篭)のようですが、笠の代わりによくわからない塔石のようなものが乗っています。
「何でもあり」って感じですかね。(@_@;)
住宅が建てこむ一角にぽっかりと空いた時間が止まったような空間が班女塚。
班女塚の周りには色々なものがあります。
これもそのひとつ。
これもそのひとつ。
延命地蔵菩薩。
住吉勧進社。
住吉神社の標石。
こんなものもあります。
倉庫前の木が凄い色をしていました。
木が弱って「治療中」なのでしょうか。
班女塚の横には繁昌神社の倉庫が。
室町高辻という賑やかな街の一角に、ポツリと存在する静かで不思議な雰囲気が漂うゾーン。
かつては、不運の女性の霊を慰めるため全裸の男たちが神輿を担ぐ行事も行われていたようです。
でも今はもうそんなことは行われていません。
京都は実はかつて「魔界」とされていました。
そんな「不思議の都」京都の姿を今に残す場所の一つがここなのです。
かなり古そうな倉庫です。
倉庫のひさしは苔むしています。
ぽっかりと一角が空いたような雰囲気が漂う班女塚ですが、すぐ近くにまで家が建ってきています。
これは班女石の背面。
白い倉庫は繁盛神社のものですが、右側の濃い茶色の建物は民家。
班女石と民家がまさに「背中あわせ」。
班女塚をあとにすることに。
繁盛神社へ。
かつては、班女塚の前を未婚の女性が通ると結婚できないと恐れられていました。
いつ頃からかその忌地に弁財天が祀られ、そしてそこが「班女社」や「半女社」などと呼ばれるようになりました。
神社は怪異現象を起こしたものを祀っているということで不吉がられていましたが、「班女」が「繁昌」に転じ商売繁昌・縁結びの神様として信仰を集めるようになったとされています。
繁盛という名前がつく神社は、日本でここだけです。
本殿にお参り。
繁盛神社をあとにして、「鉄輪(かなわ)の井」gあある命婦(みょうぶ)稲荷と鉄輪社へ。
何度も来た場所なんですが、かなり探し回りました。
河原町通りから西側の4筋目ということで覚えておくんですが、すぐに忘れてしまいます。
表札が掲げてある民家への入り口を通るので最初はかなり抵抗がありました。
表札の横に「鉄輪ノ井戸 入口」の案内が。
中に入ります。
「鉄輪ノ井」の由来書き。
ズーム。
命婦人稲荷社。
最初は「縁切りとはよくない」ということで、稲荷が祀られました。
その後火災で社殿が焼失、町民が保管していた神霊を祀るため新たに神社を建て、夫婦和合福徳円満の神として命婦稲荷社となりました。
命婦稲荷社のキツネ様。
命婦稲荷社本殿。
1668年(江戸時代)に、伏見の稲荷大社本宮より歓請してこの地に祀ったのが始まりと伝えられています
小さな神社ですが、地元の人々によって大事にされていることが伝わってきます。
命婦稲荷社の横には鉄輪社が。
鉄輪社。
以下は、鍛冶屋町敬神会の資料より。
その昔、ある女が、夫が自分を捨てて後妻を娶ったことを恨んで、夫とその後妻を呪い殺そうと、毎夜貴船神社で丑刻詣(うしのこくまいり)をしていると、鉄輪を頭にのせ3本の足に火を灯し、怒りの心を掻き立てると鬼になれるとのお告げを得ました。
しかし、女は満願を前に過労から力尽きてこの「鉄輪の井戸(鉄輪井)」の辺りで亡くなったということです。他に女が住んでいた所だとも、身投げをした井戸ともいわれ、こうした言い伝えから、この地に女の霊を弔うために井戸の側に鉄輪を埋めた「鉄輪塚」という鉄輪の山も築かれていたようです。
鉄輪社の土台。
鉄輪社には「鉄輪塚の碑」が御神体として祀られています。
1877年に市中の小祀廃止の府令によって命婦稲荷は廃社となり御神体も行方不明となりましたが、1935年に御神体が見つかり、地元町民有志の熱意で同年11月に現在地に再建されました。
その際に、鉄輪井も「霊泉」として保存するための工事が行われましたが、その工事にによって「鉄輪塚」の碑が発掘されたため、その碑を鉄輪大明神として祀る鉄輪社として、命婦稲荷社の横に鉄輪社が造られました。
複数の鉄輪が描かれている板。
鉄輪の井。
丑の刻参りをしていた女が飛び込んだとか、この前で息絶えたとか言われる井戸です。
京都市絵地下鉄の工事で水は枯れてしまいました。
井戸の上には鉄輪社のいわれが書かれた資料が置かれています。
井戸のつるべ。
この井戸水を相手に飲ませると縁が切れるとされていましたが、もう今は枯れてしまっています。
でも、この前にペットボトルの水を一定期間供えてから縁切りで使う人もいろようです。
井戸の上には「お供えされたペットボトルの水は、各自、お持ち帰りください。」と書かれた紙が貼ってあります。
人間のしたたかさを実感。
鉄輪大明神を祀る鉄輪社の前にはこんな水が。
生水は飲めませんが加熱すれば飲用可能のようです。
でもこの水は一体何でしょうか?
手水のようですが、これが湧き水なのかどうか知りたいものです。
こんな案内があるということは、持ち帰らない人がいるってことでしょうね。
それって、この井戸の周囲の人にとっては極めて困りものですよね。
命婦社と鉄輪社の境内をあとにします。
お参りするのにこんな路地を通って入って来たのです。
五条通り(国道1号線)を東進し、五条大橋西詰めへ。
牛若丸と弁慶の像が。
でも残念ながら、牛若丸と弁慶が出会ったとされる「五条橋」は今の五条大橋でなく、松原橋でした。
ちなみに。
この像は元々 国道1号線の中央分離帯にあったもの。
それが、下水道工事のためこの位置に移されたのです。
扇塚。
扇塚の説明。
扇は平安時代初期に作られ始め、その発祥の地がここだとされています。
五条大橋を渡ります。
濁った鴨川の水。
遠くに比叡山が見えています。
比叡山をズーム。
洛東遺芳館。
江戸時代の豪商・柏原家の旧邸。
商家伝承の婚礼衣装や調度品などがおよそ約8000点程も展示されています。
経営記録、古文書、古書籍1万冊なども残っているそうです。
春秋の公開時のみ開館していますが、会館は春季が4月1日〜5月5日で秋季は10月1日〜11月3日。
本町通り(旧伏見街道)を南進し伏見稲荷大社近くまで戻ってきました。
伏見稲荷大社境内の鳥居を造っている工場がありました。
これは撤去した古い鳥居の残骸のようです。
新しい鳥居。
どうやら完成品のようです。
伏見稲荷大社に到着。
お参りをして、さて帰路に。
今日のウォークはこれにて終了。
いよいよ「京都の怪異・不思議・遺構を追うウォーク」を開始しました。
これまでに訪れた場所にももう一度積極的に行こうと思います。
1200年の歴史がある京都には、本当に様々な場所があります。。
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